カテゴリー別アーカイブ: 山行報告

世界は広がった

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 クライマーにとって「登る」という単語はリード前提。私もやっと「登れました」! いつの間にか今季の目標になっていた、アイスのリード。氷にねじ込んで支点にするスクリューを打ちながら足がミシン状態になったり、私が落ちるんじゃないかと仲間が心配しているだろうと背中で感じたり、足に立ちこむときはドキドキだったけど、今の実力をそのままぶつけられた!
 これで急激に世界が変わるわけではない。改善点はたくさんあって、今回は運が良かっただけかもしれない。でも世界が広がった、とは思った。落差35m・醤油樽の滝、デビューにはぴったりの舞台でした♪♪ 安心・満足せず、まだまだ、がんばるんだぞ私!(。・・。)

世界が変わるから

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 「今度の氷瀑ではリードするぞ」と意気込み、以前アイスバーグで撮影した動画で登りを見返していたら。夫がカメラに向かって遊んでいるのを今さら発見!!

 本日は操作性のよい一体型グローブと、スクリュー4本を買い足してきました。グローブは3割引きだったものの、これで3万円超え。毎度登山用品は値が張ります。でも、なぜだろう、アイスの道具を買うとテンション上がります。一昨年、アックス2本と縦爪アイゼンを買ったときも、すごく嬉しかったのを覚えている。アイスは道具で劇的に世界が変わるからかもしれない。
 これらの道具を握りしめ、目標達成なるか。すごく楽しみです。

山のロマン

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 風邪ひいたり、取材行ったり、黙々作業したりしてました。やぶこぎの皆さんが2月上旬に行かれた奥美濃の小津権現山(1157.8m)の尾根がステキだったので、ぽっと時間があいた日に一人で行ってきました。標高は低くとも雪山。しかも平日のマイナー尾根。じつは冬季のソロは初めてです。私は登山用GPSを持っていないので、泣いても笑っても地図とコンパスと高度計だけが頼り。
 そんなシリアスな話は置いといて、と言いたいところなんですが、到着したら止みそうにない雨から始まり、苦労ばかりの、山のロマンは微塵も感じられない山行でした。
 自分の山バカを露呈するようで書きたくないんですけど、上り下りを練習したくてスキーで行きました。積雪は少なく沈まないのでスキーのメリットは薄く、だいたい最初の高度差200mは雪がなかった。「いつ退くか」を取付きからずーっと自問自答し続け、やぶこぎの皆さんが4時間で登頂しているところを5時間半かかってピークを目前に引き返し、3時間以上かけて下山しました。
 苦手なスキーには当然こっぴどくやられ、トレースはほとんど見えず、下りのルートファインディングにもドキリとさせられました。10分に1回は方角を確認。ひどい靴ずれをするわ、足は攣るわで、散々でした。それでも山バカなりの成果を挙げるなら、自分の力量でできる最大限のところまでは踏ん張り、しかしギリギリの状況には追い込まなかったこと。いつかきっと役に立つと思いたい!
 でも、転びまくったので、ケガしなかったのは幸い(^^;;;

岳人|ガイド記事のお仕事

 2015年3月号「岳人」の「とっておきの山歩き」というコーナーに、能郷白山の記事を寄せています。この日は暑いくらいの晴天で、ただの雪山歩きだから……と多少なめてかかって重たい一眼レフも携えて行きました。ところがそこまでの春の陽気になるとは思っておらず、また想像以上の急登と、同行者のSさんのスピードに全くついていけず、足の指がつるほどバテてしまいました。結局、この山に100回以上は登っているというSさんが「トレーニングになるから」と言ってくれ、私の重いザックとご自身の軽いザックを交換して、登ってくれたのでした。だからピンクのウエアを着ている私が背負っている青ザックはSさんのものです(笑) 持っていった一眼レフも、前山と能郷白山の頂上で出すのみでしたが、掲載したような晴天の素晴らしい景色を撮影でき、それを紹介できて良かった!
 なお、この経験も踏まえて、その後35ミリ(フィルム換算したら50ミリくらい)の軽い単焦点レンズを買い足しました。レンズを変えてからは、それを胸に下げて裏剱を4日間歩くなどができるようになりました。いい写真を撮るには歩荷力が必要ですね!
 岳人の詳細は、モンベルのウェブショップで見られるようです。
 2015年3月号「岳人」
 

夢のスキーとアイスクライミングのコラボ?

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 2週連続でマイア・アイスバーグ! 晴れ予報が、朝から名古屋は雨、長野に入ってもみぞれから雪へ…。現地は風が強く、寒い1日でした。こんなところにノーマルタイヤで来る!? と言いたくなるようなところで車が動かなくなったようで、数十分ロスするも、なんとかたどり着けました。
 すでにロープが8本も垂れていて、ガイドグループが3つもいて、場所を確保するのが難しそうだと凹みましたが、管理人さんがロープを整理して場所を作ってくれ、しっかり登ることができました。管理人Sさんありがとうございます! 午前4本、ランチ後に4本、コーヒーブレイク後に2本と、計10本も登って大満足です。1本当たり200円で、超お買い得だし!
 夢のスキーとアイスクライミングのコラボレーションを期待して行きましたが、1日じゃあなかなか、両方ともやりこめないっす。スキーはまた今度。帰りの路面はすっかり雪がとけていて、マイアは吹雪だったのに、こうも違うのかと驚きました。久々のデートを満喫できました♪

登り込めばできる

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 こんだけアルパインやってきて、私ほどリードしない奴もいないと思う。それは当然で、だってトレーニングしていないから。山に行くのと、登るトレーニングをするのは、多くの場合で重ならない。ただ登れる体を作るなら街中のクライミングジムに通えばいい。外岩に強くなるならフリーの岩場に通えばいい。ボルダーもいい。アイスに強くなるなら人工氷瀑や、アプローチほぼなしのゲレンデに行くのでいい。
 私はこれらの過程をすっ飛ばして、いや、そんな順序は固定されていなくて、その人の環境、志向、目的に応じて経験を重ねていくしかなくて、たまたま私はトレーニングできていない。地道なトレーニングと、遭難と隣り合わせの山での本チャンは、両方積み重ねていければ理想。トレーニングしなきゃ本チャンも登れないでしょって思うけど、意外とそうでもなく、力のあるリーダーのもと協力し合えば危険を回避できるすべがあるので、どちらが先だというものではないのです。
 この冬は、氷瀑をそれなりに多く登っている。先週末は人工氷瀑から濁河温泉のゲレンデに梯子という、登るトレーニングをする機会を得て、自分は何ができるか、どれくらいなら安定しているか、不確定要素の少ない場所でくり返し登って知ることができた。山中だと少ない場合1日1本しか登れないけど、今回は2日間で10本以上登れた!
 それと先月までに登った6日間の氷瀑たちでの経験を思い返すと、自分はこれくらいのことができそうだと感じるものがあった。手となるアイスバイルと足となる縦爪アイゼンの感覚も馴染み、できる範囲が分かって、その範囲内には自信がついた。だからアイスで初めてリードに挑戦してみた。しっかり安定して登れた。「そうか、こういう感覚なんだ」。まさに登り込んだ成果! 昨冬はめずらしく外岩に打ち込んでいたけど、通えば通うほど強くなっている感覚が楽しかったのと同じ。
 リード、おもしろいな。この感覚なら、ジョーゴ沢のあの滝も、峰の松目のあの滝も、戸台なら五丈ノ滝から頑張れるかもしれない。そんなわくわくが広がるのでした。いつもの先輩がケガで離脱してしまい、それだけがすごく悲しくて残念。「今季は最後に寺井さんと塩沢左俣に行こうと思ってた」という言葉がしみた>< 写真は、今年いちばん難しかった舞鶴ルンゼF1! これをリードするのは1年じゃ効かないや。

ツレッキングスキー・ファイナル

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 東京の山のいつもの先輩、エクさんと柏木さんと、今回は山じゃなくてスキーに行ってきました。エクさんは登山のほかにボランティアの会も運営していて、その会の毎年のイベント、「ツレッキングスキー」でした。「ツレッキング」とは、障害のある人もない人もみんなで連れ立って外に出て遊ぼうという意味だそうで、調べたらエクさんの造語だったみたい。好きなところに自由に出かけられない障害のある人が、年に一度、雪を見て滑って遊べる機会で、今年で21年目になったそうです。私たち夫婦は18年目の頃から参加していて、ボランティアを口実に長野まで出かけて雪質の良いゲレンデを滑り、エクさん柏木さんたちと再会して飲む機会でもあります。しかし残念ながら今回が最後の開催でした。

 写真の二人は同級生。どっちもいい年している(笑) 乗っているバイスキーは、板が2本だから安定していて、障害が重くても始められるスキーだそう。腕に力があれば、アウトリガーと呼ばれる道具などを使ってターンもできるんだって。彼の場合は私たちがターン操作するスタイル。私も緩斜面ならなかなか安定して滑れますよ! でも傾斜が強いところは難しい! 転ぶのも一興です。
 これで終わっちゃうのは淋しいけど、まあまたスキー行きましょう!

創造的な登山に必要なこととは

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 明神洞の天井を解き明かす小さな冒険に行ってきた。
 ウソかホントか「奥美濃の黒部」という場所があるらしい。明神山の西面に、明神洞と呼ばれる50~100mの側壁に囲まれたまさに黒部のような回廊があって、15mの明神滝が来るものを拒むように立ちはだかる。沢筋は夏に遡行されているけれど、側壁上がどうなっているかを知る者は、おそらくいない。こんなアイディアを共有してくれたのは、ヒマラヤ遠征やら初登記録やらをもつ隣町に住むスーパークライマーさん。彼は登山を表現活動ととらえて、彼なりの感性で美しさや価値を定義し、オリジナルな登攀ラインを求めて毎日でも地形図を眺めている。
 実際に見上げた明神滝は巨大な門のようで、冷たい水をかけていた。門の左手には急な雪斜面が奥まで続き、ここから仮称・明神洞右岸リッジ(明神山西稜)に上がれそうだ。濃い藪に苦労してリッジに出ると、対岸の稜線など、明神洞の鋭い山谷が目に飛び込んできた。「宮城さん、あれって登れるものなの?」「全部行けるでしょ」。私は雪稜の経験がほとんどない。どうやったら登れるのかはわからないけど、岩ときのこ雪の造形は格別な存在感だった。
 自分が立つ右岸リッジもやせ尾根で、藪とグサグサ雪に悲鳴もの。何しろ前人未踏かもしれない尾根、この先登れなかったらどうしようと不安になる。幸い(地形図通りなんだけど)標高850mくらいから落ち着いた。南岸低気圧からの強い冬型で、1136m山頂に這い上がったときはすでに3日目、帰りも湿雪ラッセルが厳しく、5キロの移動に6時間も使った。
 私の登山歴史上、記録のないルートを行ったのは初めて! 隣町のスーパークライマーさんが道を切り拓いたからできたわけだけど、間近に見ながら同時にトレースできたことは大きな成果じゃないかな。創造的な登山に必要なこととは、第一に相応の「実力」、しかしそれ以上に重要なことは「意志」みたいだ。