白神の記憶 2日目

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 自分1人のためにガイドをお願いする体験が初めてだったこともあって、その2日間はひどく緊張していた。

 ―2日目、YHを出発するととても良い天気。すぐに巨大な岩木山が登場した! 岩木山は2年前に登って以来のご対面。いつ来ても本当にいい。今回はりんごの収穫が始まった時期なので、岩木山をバックに赤いりんご畑という青森らしい情景だった。西目屋村は、白神山地の北東の一端をしめる場所で、弘前市から最もアクセスが良く、青森県側のビジターセンターがある。そこでKさんと合流し、2台で大川の林道終点まで。約4キロの未舗装路で白いレンタカーが泥まみれになった。
  今日はマタギ道を使って尾根に上がり、ブナ林を巡るコース。案内人は目屋マタギの工藤さんに弟子入りされているKさん。私の体力経験から、やぶこぎを交えたきのこ探しをアレンジしてくださった。マタギ道は踏み跡程度で、水平移動はまず問題ない。でも一部の泥斜面の登下降は、一般道しか経験のない人には厳しいと思った。途中の道なき移動では、ブナ林の大斜面を木につかまりながら100mくらい下った。これは沢登りのレベル。
 Kさんは北東北と北海道の山をずっと登られているので、私が白山のブナ林と比較すると、興味深そうに聞いてくださった。Kさんは動植物を詳しく教えてくれて、薬草になるものなどは味見もさせてくれた。初めて出会うきのこも多かった(写真はマスタケ)。マタギは、食用キノコを見つけたからといって不必要に採らないし、時期を過ぎていれば、やはり採らない。それは山菜でも、熊猟でも同じだそうだ。そういう理由で目屋のマタギは熊猟を春先の最も熊猟に適した10日間しかしないそう! 1頭も狩れなくても、ピシャッと猟をやめるという。時期を外した狩りや収穫はただの殺しと変わらないという。この日は若いヒラタケだけ採取した。
 マタギ小屋に戻ると、Kさんの奥さんが食事を用意してくださっていた。津軽の豊かなごちそうを手に焚火を囲み、マタギ小屋で眠った。