出産の記録 (3)

 9:00
 準備に手間取ってやっと出発。入院になるかもしれないから、その用意をすべて車に積んだ。けっこうな荷物! 買っていたあんぱんと温かいお茶も。車で走って約30分。その間に病院に電話を入れ続けるとやっとつながる。再診の受付をしないで直接産婦人科外来に来てほしいと言われる。
 助手席に座りながら、ウーウーうなる。もうすでに5分くらいの間隔だった。

 9:30
 病院に着くと今日に限って駐車場の入口に列! なかなか進みそうにない。夫に付き添われないで一人で歩いて外来まで行けるか不安だけど、かなり待ちそうだったので一人で行くことに。トートバッグだけ持って車を下りるが、すぐに痛みがやってきて、ロータリーに停車した車の間で立ち止まって1分ほど歩けなくなっていた。視線を感じるが歩けないものは歩けない。カバン1個すら重くて……。すると夫が気づいたらしく、ロータリーに車を寄せてハザードを点灯させ、駈け寄ってきた。
 付き添われて2階の外来まで歩いていく。

 9:40
 外来は大混雑。年内最後の診察日だからか。助産師さんに「ごめんなさいもう少し待って」と待たされる。
 やっと内診。私はずっと「助産師外来」でやってきているので、臨月になってから内診が初めてだった。部屋を移動する私を見て「ちゃんと痛そうね、よしよし」と納得された。うなりながら内診台に上がる。ここで子宮の入り口が何センチ開いているか確認する。「もう半分開いてます!入院です」。やった!よかった! ブログなど見ていると、病院に来てまだ1センチとかで帰されたりしているのでそういう事態を想定していたけど、私はもう半分(つまり4~5センチくらいか?)開いてるらしい。つまりお産が進んできているのだ。私の場合は「子宮口1センチからなかなか広がらない」という時間はなかった。
 やっぱり昨夜からの痛みは陣痛だったんだ……。痛みに耐えている間にどんどん子宮口が開いていってたらしい。安堵した。入院の手続きの説明を受け、外来の助産師さんに見送られるとき、「ちゃんと進んでいますよ、大丈夫です!」とやたら力強い言葉をかけていただいた。
 あとで聞いたことだけど、横になっているよりも座っている方が、重力の力も借りて赤ちゃんが下りてくるのでお産が進むそう。夜中に座って耐えていたのはよかったみたいだ。
 外来を、おばあちゃんのような姿勢で歩いて移動する私。診察に来ている人たちは「あれが陣痛のさなかの妊婦か」と思って見ていたに違いない。