子どもと建築|この本を作る意義

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 近所の喫茶店でお決まりの資料読み込み。手にしているのは「まち路地再生のデザイン 路地に学ぶ生活空間の再生術」。近頃の自分の住む名古屋のまちは何かが面白くないと感じるけど、なるほど、たしかに路地的空間が欠落している。民家が向かい合いできた狭い空間で、飼われている猫が顔をのぞかせたり、住人の趣味であろう植栽がごちゃっと陳列されていたり、それを見たときに気になるけど入っていいのか心がざわつくような、昭和な空気のオープンスペースだ。地面はアスファルトじゃだめで、雑草が生えていたり、瓦や割れた鉢がタイル代わりに敷かれていたり、あるいは古いコンクリの階段だったりするような。
 今の名古屋には皆無なんじゃないかな。昭和生まれの私は実家の隣が長屋で、自分の家の敷地がどこまでかよく分からず、もちろん他人の家の前とは分かっていたけど、出入りしていた記憶がある。
 このところ、「まちなみ」に関する小学生向け冊子をつくっている。学生のころから何かと関わってきた都市センターの企画。いよいよ時間がせまってきて、3月末まで多くの時間をこの冊子に使うことになりそう。何しろシリーズ物で、3月末までに2冊を、少々雑でも形にしてしまうのがオーダー。今2冊目の企画に取りかかり、あらためて資料を読んでいる。出来の悪い学生ながら芸術工学を修士で出て8年、建築や都市の専門用語はスッカリ忘れてしまったけれど、「この問題をどうにかしたい」という感覚的なことは、不思議と書籍の行間から熱く感じ取ることができた。なぜ自分がこの冊子を作るのかの強烈な意味づけであり、私みたいなのが仕事をするときに欠かせないモチベーションのもとになる。建築設計の道を選ばず、たまたまだけど編集の一般企業に勤めていた経験が役立つから、しっかりいいもの作らないとね。子どもたちに、まちなみを見つめる視点を届けると同時に、大人たちの啓蒙もねらいたいな。多分、都市センターの担当者さんもそう思っていると思う。