雑誌などに山のガイド記事を書くときは、ほとんどの場合で、自分から山を提案している。東海エリアで、その季節なら、この山がどんな理由でおすすめ、といった具合に。
そこで毎度迷うのが「あまり知られていないお気に入りの山」を候補から外したい気持ちがあること。好きなものを独占したい人間の心理。
- 自分レベルで知っている山なら、皆さんも知っているはずで、そのうえで「あまり登られていない」なら、その程度の山なんだろう。登山的に魅力がないんだろう。という考えもできる。
- SNSでバズる時代、紙媒体の雑誌にガイドが載ったとしても、見ている人口はどんなもんだろう、載っても人出は変わらんのじゃないか、という考えもできる。(雑誌に載って、感度の高い人がSNSで映える写真を投稿して、それをきっかけにブレイクするシナリオは想定できる)
- 自治体や地元の視点からは、来てくれたら嬉しい、誇りに思うからぜひ載せてほしい、というご意見をいただくこともある。とっておきの山をナイショにしておきたいのは私の個人的な利益でしかないのかもしれない。
- 一方で、人が来すぎて地元が受け入れに困り、これ以上は困るからと一時期道路を閉じていた場所もあった。たとえば岐阜のマチュピチュ、天空の茶畑と呼ばれる場所は、大ブレイクしてしまい、コロナ当初から地元の希望で封鎖されていたけど、今またオープンしている。(封鎖されているころTEL取材で聞いた)
こんなふうに、いろいろ思いながらも紹介した山、ルートもある。その結果はというと、『岳人』の場合だけども、桜の時期が最高に美しい象鼻山。標高180m程度で登山未満だけど、超絶美しい。……はい、とくに人が詰めかけたとは聞いていない。
しかしこんなエピソードがある。『岳人』掲載の翌年に私が象鼻山で子2人と桜の下で花見をしていたら、その場に似つかわしくない登山ウェアの男性が歩いていたので、「どこでこの山を知ったんですか」と聞いたら、なんと!私が書いた『岳人』のガイド記事を見たからだった! 見ている人は見てくれている。見てほしい感性の人が見てくれていることに、とても嬉しくなった。
すでに人が集まっている山なら、いくら紹介しても平気だけど、ヤマレコで検索して、珍しい花が咲くベストシーズンに10件程度の記録しか出てこないと、あぁまだ知られていないんだな。と感じて、載せるべきか心がダークに渦巻いてしまう。岐阜で気楽にアクセス、登れる、ヤマシャクヤクのたくさん咲く●●山。yamapで検索したら前シーズンは50件だった。短い山だけど、やっぱりめずらしい花が咲くとなれば行く価値があると思う。もう50件も記録が出るなら、十分知られつつあるか…
象鼻山は地元住まいのとむさんのFB投稿で知って公開に承諾いただいた山(むしろ喜んでくださった)。写真のヤマシャクヤクの群生する●●山は、ヤマレコで自分がたまたま記録を見つけた山。